エドワード・エルガー(Edward Elgar)が1888年に作曲した愛の挨拶(Salut d’Amour, Op. 12)は、婚約者キャロライン・アリス・ロバーツへの贈り物として書かれたロマンチックな小品です。優雅なバイオリンとピアノの旋律が心を温めてくれ、クラシック初心者にも親しまれる代表作です。
楽曲情報
愛の挨拶(Salut d’Amour, Op.12)
項目 | 内容 |
---|---|
作曲者 | エドワード・エルガー(Edward Elgar) |
作曲年 | 1888年 |
原題 | Salut d’Amour(フランス語で「愛の挨拶」) |
初期タイトル | “Liebesgruss”(ドイツ語:恋人へのあいさつ) |
特徴 | 優雅で甘美な旋律、バイオリンとピアノの定番レパートリー |
編成 | ヴァイオリンとピアノ/ピアノ独奏/弦楽合奏/管弦楽 など多くの編曲あり |
演奏時間 | 約2分~3分 |
作曲の背景・歴史
- 婚約への贈り物として
エルガーは1888年、婚約者キャロライン・アリス・ロバーツへの贈り物として本作を作曲し、当初ドイツ語の「Liebesgruss(恋人へのあいさつ)」というタイトルにしていました。 - 献辞「à Carice」の由来
フランス語で献辞された「à Carice」は、Caroline Alice、つまり妻の名前を組み合わせた愛称です。後に二人の娘にもこの名前が使われました。 - 出版とタイトル改称の経緯
初版は1889年頃、Schott & Co.からバイオリン&ピアノ、ピアノ独奏、チェロ&ピアノ、小編成オーケストラ用で出版されたが、売れ行きは振るわず、タイトルを「Salut d’Amour」に変更。作曲者名を「Ed. Elgar」とすることで販売が好転しました。 - 初演について
最初の公演はオーケストラ版で、1889年11月11日にロンドンのクリスタル・パレスでAugust Mannsの指揮により行われました。
楽曲の特徴・構成
- 長さは約2〜3分と短めながら、バイオリンによる甘美で魅力的な旋律が印象的です。
- 中間部にはやや陰りのある表現があり、最後に主題が戻り、感動的な締めくくりとなります。
編曲バリエーション
- 楽曲は多くの編曲で演奏されており、バイオリン&ピアノ以外にもピアノ独奏、チェロ&ピアノ、小編成オーケストラ用などがあります。
- IMSLP などの楽譜ライブラリでは、さらなる編曲として鍵盤四重奏(Piano 4 Hands)、オルガン版、ハープなど多彩なバージョンが確認できます。
現代での使用例(CM)
- ニベア花王「アトリックス ビューティーチャージ」CM(ヴァイオリニスト篇)
このCMでは、ヴァイオリニストの宮本笑里さんが出演し、「愛の挨拶」がBGMとして使用されています。エルガーが婚約者に贈った甘く優しいこの曲が、製品のイメージと調和しています。