主よ、人の望みの喜びよ(Jesu, Joy of Man’s Desiring) は、ドイツの作曲家 ヨハン・セバスティアン・バッハによるカンタータ 『心と口と行いと生きざまは』(BWV 147)の一部を編曲した作品で、1926年に Myra Hess によるピアノ編曲が広まり、その後多くの編曲版・録音が制作された名曲です。感動的な旋律と荘厳な和声により、結婚式や宗教儀式、映画・テレビなどで広く愛されている曲です。
楽曲情報
主よ、人の望みの喜びよ (Jesu, Joy of Man’s Desiring)
項目 | 内容 |
---|---|
作曲者 | ヨハン・セバスティアン・バッハ(J.S. Bach) |
出典 | カンタータ第147番「Herz und Mund und Tat und Leben」BWV 147 |
編曲 | Myra Hess(ピアノ)、Peter Hurford(オルガン)、他多数 |
特徴 | ゆったりとした3/4拍子、ハーモニーの美しさ、荘厳かつ温かな雰囲気 |
使用場面 | 結婚式・クリスマス・宗教行事、教育・音楽番組など |
作曲の背景と発展
- 元の作品について
この曲は、1723年にライプツィヒでバッハが作曲した教会カンタータ BWV 147『Herz und Mund und Tat und Leben(心と口と行いと生きざまは)』の一部(第6および第10曲)のコラールから派生したものです。 - 元のメロディの由来
メロディ自体はバッハのオリジナルではなく、1642年にヨハン・ショープ(Johann Schop)が作曲し、詩人ヨハン・リスト(Johann Rist)が歌詞を添えた賛美歌「Werde munter, mein Gemüte」が源泉です。 - 編曲の転機
1926年にイギリスのピアニスト、マイラ・ヘスによるピアノ独奏編曲が発表され、1934年には連弾版も登場し、今日の「Jesu, Joy of Man’s Desiring」としての名声を確立しました。
楽曲の構成と特徴
- 編曲前の構成
BWV 147は10曲からなり、2部構成。第6曲「Wohl mir, daß ich Jesum habe(イエスを有する幸い)」、第10曲「Jesus bleibet meine Freude(イエスは我が喜びとなられる)」がそれぞれパートの締めくくりとして配置され、同じ音楽素材によるコラールになっています。 - 編成
バッハの原編成は、声楽(コーラス)とトランペット、オーボエ2本、弦楽器、通奏低音(continuo)などによる管弦合唱形式です。 - 現在の位置づけと利用シーン
結婚式や宗教行事、さらには映画やテレビのBGMとしての使用など、多彩な場面で愛される一曲となっています。
代表的な編曲・演奏例
- マイラ・ヘス(Myra Hess)によるピアノ編曲
最も広く知られる編曲で、ピアノ独奏・連弾版共に多数の演奏があります。 - その他のアレンジ例
ギター、オルガン、モーグ(シンセサイザー)などへの編曲も制作され、幅広いジャンルに広がっています。 - 引用可能な演奏映像例
現代的な解説を交えたYouTube動画も参考になります。たとえば「Explained: Jesu, Joy of Man’s Desiring」では、背景や演奏のスタイル違いなどがわかりやすく解説されています。
映画・テレビ・メディアでの使用例
- 「Boogie Nights」(1997)
Apollo 100 によるロック/ポップス調の速いカバー版がサウンドトラックに収録され、作品中でも印象的に使用。 - 「Downton Abbey」(ITV)他
ドラマシリーズ内の挿入曲としてたびたび使用され、荘厳かつ感動的な演出を演出。
CM・ラジオでの使用例
- ハウスメイト CM(小西真那美さん出演)
バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」がBGMとして起用されました。 - 家庭教師のトライ CM「おんじいったりきたり」篇
オルガンアレンジ版が効果的に使われ、印象的な演出になっています。
編曲・アレンジ版の活用例
- 多様な演奏編成が存在
ピアノソロ(Myra Hess)、オルガン(Peter Hurford)、弦楽四重奏、ギター、ハープ、ジャズ編曲など、多様なスタイルで演奏され、教会、式典、演奏会で頻繁に用いられています。 - Apollo 100版(1972年)
「Joy」としてチャートヒットし、ロック/ポップスとしても広く知られる編曲版となりました。